ジャックハム著「人体のデッサン技法」について
私は過去に3回程ジャックハム氏の教則本を模写したことがある。
よく考えながら模写をしろと言われその通りに描いて練習したものの、振り返ってみると練習内容に対して得たものは膨大な時間とストレスであり、実力はあまりついたようには思えず、練習後に描いた絵を見ても今となっては目も当てられないものであった。
練習量が足りないだけかもしれないが、初心者が、少なくとも自分が幾度も隅から隅まで何度も描くにはページは少ないといえども線の量があまりにも膨大であり、目標に達するよりも披露や飽きが先に来るであろう。
しかし、私は決してジャックハムの「人体のデッサン技法」が教則本として優れていないものであるとは思わない。
今現在の練習方法を始めてからは嘘のように筋肉の部位などを覚えられるようになり、ささやかながらも上達を実感している(現在の練習方法はまた別の日に説明する)が、絵を描いている時になかなか相応しい資料が見つからずふとジャックハムの本を手に取った。
すると、当時練習していた時よりもその本の内容がすっと頭に入り、参考資料としても役立たせることができた。
つまり、ジャックハムは基礎の基礎を頭に叩き込んだ後に読むことで真価を発揮するのではないか、というのが私の意見である。
個人差はあれど、逆に0から始める人には勧めがたい一冊かもしれない。こればかりは各々が実践してみなければ分からないことではあるが。
しかし、ある程度体の代表的な骨や筋肉を覚えた状態で見ると、漠然としか捉えられなかった内容も理解しやすくなるのではないだろうか。